全誘導釣法ですよ

2009年の夏を境に、それまで多かったボウズの回数がめっきり減り、突然チヌが釣れるようになりました。 全誘導釣法。その理に叶った釣り方を、実際の体験を基に綴りたいと思います。

全誘導釣法をマスターする前は・・・
全誘導釣法に出会う前は、ウキ止めを付けた半誘導の仕掛けで釣っていました。
しかし、どんな浮力のウキを使えばよいかわからず、その日の気分でB~3Bのどんぐりウキを選択したり、水中ウキをつけてみたり、 海中のイメージもわからず、ただ流すだけ。。。
半誘導仕掛けだと、どうしてもマキエとサシエが同調する位置がわからず、まぐれ当たりの釣りになっていました。 たまにチヌがかかっても、それは「釣った」のではなく「たまたま釣れた」にすぎません。 当然、ボウズの回数は多く、多くて2~3枚釣るのがやっとのことでした。
「どうやったら、もっと釣れるようになるのかな・・・」と苦悩の日々が続いていましたが、あるとき、レジャーフィッシング誌で、 シマノの大知昭さんやキザクラの高橋剛さん、がまかつの南康史さんといった方々が、ウキ止めをつけない「全誘導」という釣り方で バンバン釣っているという記事を読みました。
「これだ!」と思って真似をしてみますが、初めのうちは仕掛けが浮くばかりで、うまく流すことができませんでした。。。
それからというもの、レジャーフィッシング誌を毎月購入して熟読するようになり、本屋に並んでいた全誘導釣法の本を買いあさって、 釣りに行けない日は本から知識を得る、晴耕雨読の日々が続くようになりました。
軽い仕掛けはホントに沈むの!?
「なんで仕掛けが沈まんのじゃろ??」といろいろ考えた挙句、とりあえず、「釣れないのは道具のせいかも!」と自分の腕の悪さを 棚上げして責任転嫁に走ります(笑)
大枚をはたいて、その当時シマノの最高峰のチヌ竿だった「鱗海スペシャルCOMPEDITIONモデル」と「BB-X MgC3000D」を購入しました。
すると、糸絡みが少なく仕掛けがよく飛ぶようになり、仕掛けのトラブルが少なくなった結果、釣りをしている時間が長くなりました。 このとき、「釣果は確かに釣り人の腕によるけど、いい道具を使うことも大事だ!!」と考えるようになりました。
また、ウキ止め糸やシモリ玉を付ける必要がなく、仕掛けの組み立てが早くできることと、ウキ止め糸をいちいちずらす必要がないので、 気を使わずに釣りができるという全誘導釣法のメリットが、横着な私に向いていました。
さらに、浮力0号のウキを使うようになり、釣具屋で売っていた釣研の「Xシンカー」という-G3の浮力の水中ウキを付けてみると、 仕掛けが潮を捕え、どんどん海中に入っていくではありませんか!
全誘導釣法の最大のメリットは、マキエとほぼ同じ速度でサシエを同調させながら、どこまでも沈めていけるところにあります。 半誘導仕掛けのマキエとサシエを点で合わせる釣りと違い、どこまでも同調しながらサシエを"自然に"流していける釣り方に、 「すごく理に叶った釣り方だ!!」と感動したのを今でも覚えています。
当然、マキエとサシエの同調時間が長く、チヌの居るタナにサシエが届けば、釣れる確率はグッと高くなります。
見える・・・私にも魚の動きが見えるぞ!
全誘導の欠点のひとつは、根がかりが多くなることです。 特に「Xシンカー」は千円以上の値段がしたので、根がかりでロストすると非常にイタイことに。。。
この根がかりの対策ですが、Xシンカーより安価な「潮受けゴムL」を使うことで、コスト面の負担を軽くしたことと、 仕掛けが海底に到着するまでの時間を計るようにして、よっぽどチヌの活性が低い時を除いては、根がかりするまで 流さないようにしたことです。
「時間を計る」といっても実際に時計を見て計るわけではなく、頭の中で数を数える感じです。 最初のうちは本当に数を数えていましたが、今では「感覚」で、着底するまでの時間がわかるようになりました。 この「感覚」は人にはうまく説明できないのですが、「チヌが釣れる潮がわかる」という話も、同じようなものだと考えています。
ミスター風に文章で表現すると、
「潮がトロ~ってなったときに、ウキがペコってなって、少ししたらピューンって入っていくと、ガツーン!」みたいな(笑)
釣れる確率があがり、徐々にボウズで帰る日が減ってチヌの釣れる回数が増え、釣れた時の潮の速さや仕掛けの入り具合、 場の雰囲気などの経験を重ねたことで、「釣れる感覚」が身についたのだと思います。
「見える・・・私にも魚の動きが見えるぞ!」と、まさにニュータイプに覚醒した瞬間でした。
全誘導釣法にも色々あるんですよ
全誘導釣法にも色々な釣り方がありますが、大別してウキを海面に浮かせた状態で仕掛けを沈めていく釣り方と、ウキごと沈めていく 釣り方の2通りに分かれると思います。
私は、チヌがヒットしたときにウキが加速しながら沈んでいく爽快感を味わいたいので、いつも0号ウキを浮かした状態で釣っています。 仕掛けの入り具合は、潮受けゴムがウキから離れて沈んでいるかを見てラインを操作するようにしています。 仕掛けの入りが悪いときは、竿先を海面に近づけるか海中に突っ込んでやると、潮受けゴムが入っていくのがよく見えます。
ただし、風がすごく強い日や海面にゴミが多いとき、思いっきり遠投してウキが見えないときなどは、00号や000号のウキを沈めて、 「バチバチバチッ!」と道糸が指を弾いて出ていく瞬間や、「ギュギュ、ギュィーン!」という竿ごと持っていく体感ショックを 楽しんでいます。
全誘導釣法をマスターしたことで、よほど条件が悪いとき以外はボウズで帰ることがなくなりました。
しかし、どんなにチヌが釣れた日でも、「あのとき、こうしていたら、もっと釣れたかも」と、完全に納得のいく日はありません。 もっともっと自分の腕を磨くために海に出かけて、チヌ釣りを楽しみたいと思います。